特定建築物調査定期報告とは建基法12条で定められている定期検査・報告義務のひとつで、建物の老朽化や設備の不備・不具合は事故の発生リスク、災害発生時の被害拡大の予防として実施される調査です。特に不特定多数の人が集まる大規模な建物では、事故や災害が起こったときに多くの人が巻き込まれてしまうため、定期的に点検・調査を実施し調査結果を報告することが義務付けられています。
特定建築物定期調査とは、3年毎に実施する建物全体の検査で、外壁の損傷の有無・天井の耐震対策状況等を確認します。敷地及び地盤、避難施設等の調査も行います。10年経過の対象物は全面打診調査(赤外線サーモ調査に代えられる)が必要です。
【 主な調査内容 】
敷地及び地盤の調査
地盤沈下などによる陥没・凸凹・傾斜の有無を確認します。調査方法は目視です。建物周辺に陥没が見られ安全性を損ねている場合は、工事が必要になります。
建物周辺及び敷地内の地盤のほか、敷地内の通路、塀、擁壁の状況も調査します。排水管の詰まりや衛生面のチェックも行います。
建築物の外部の調査
建物の基礎、外壁の躯体、外装仕上げ材、サッシなどの劣化・損傷状況を確認します。
基礎部分のひび割れ、木材の腐朽(木造建築物の場合)、モルタル・ブロックの欠落、タイルの剥離、鋼材や接合金具の錆や腐食、サッシの変形などがチェックポイントです。
目視のほか、テストハンマーによる打診も行われます。
屋上及び屋根の調査
屋上のひび割れ・剥離や反り上がり、屋根のふき材(瓦など)の損傷、鋼材や金具の錆や腐食などをチェックします。
また、屋上や屋根に設置されている高架水槽などの機器についても点検・調査します。
目視のほか、テストハンマーによる打診も行われます。
建築物の内部の調査
天井、床、建物内部の躯体、照明器具、換気設備などの調査です。
天井の劣化・損傷・剥離、耐震対策の状況、内壁や床躯体の割れ・たわみ・錆・腐食、照明器具の錆・腐食・変形・落下などに加え、採光を妨げるものが放置されていないか、換気設備が作動しているかもチェックします。
目視とテストハンマーによる打診のほか、見えにくい部分の調査には双眼鏡などを用いることもあります。
避難施設などの調査
災害時の避難施設や非常口に関する調査です。
避難経路の幅員がじゅうぶんに確保されているか、扉の開閉や避難を妨げる障害物が置かれていないか、燃えやすいものが集積・放置されていないかなどを目視でチェックします。
手すり・避難バルコニー・排煙設備なども調査の対象ですが、防火設備の設置状況については、2016年新設の「防火設備定期検査」でより詳しく調査することになっています。